「のぞみ」の火星軌道投入を断念
提供:ISAS/JAXA

宇宙航空開発機構(JAXA)は9日、火星探査機「のぞみ」の火星周回軌道への投入を断念したと発表した。 同機構宇宙科学研究本部は今年の6月以来、昨年4月の太陽フレアによる影響で故障した「のぞみ」の電子回路の復旧に努めてきたが、同日午前8時30分、回復の見込みがないことが確認されたため、火星への衝突を避けるためのコマンドを送信した。この結果、「のぞみ」は14日に火星に894キロまで最接近した後、火星の重力圏を離脱して太陽を回る軌道に入ることになる。

1998年7月4日、「のぞみ」は日本初の惑星探査機として打ち上げられた。火星の上層大気と太陽風の相互作用や磁場の探査が主な目的であった。 火星への到着は1999年10月の予定であったが、地球の重力圏を離脱する際に燃料を使いし過ぎたために、探査機の推進を地球の重力を利用して加速する地球スウィングバイに切り換えた。 その結果、飛行期間がさらに4年間延長された。

電子回路の故障にもかかわらず、「のぞみ」は昨年12月と今年の6月の地球スウィングバイを見事にやり遂げた。しかし、電気系統の不具合から主エンジンが機能しないため、 今年の6月以降機能回復のための懸命の努力が続けられていた。

「のぞみ」は、最終目的を断念せざるを得なくなった。しかし、日本初の惑星探査機として、惑星探査機の設計技術、スウィングバイ、惑星探査機の運用技術、遠距離通信さらに軌道計画の柔軟な運用など、今後の日本の惑星探査のために数々の貴重な実績を積んでくれたことは事実である。そしてその最初の成果は、今年の5月9日に打ち上げられた、世界で初めて小惑星の地表物質のサンプルを地球に持ち帰る探査機「はやぶさ」のミッションに生かされている。  
 

http://www.isas.jaxa.jp/

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