THE PLANETARY REPORT


1996年3・4月号

シンポジウム

 その夜、マサチューセッツ州のケンブリッジ大学で、シンポジウムが開催された。ホロビッツ、ドレイクおよびフリエードマンに、高等研究所(ニュージャージー州プリンストン)のフリーマン・ダイソンがパネリストとして加わった。ダイソンは、イギリス生まれの世界的な物理学者である。

 彼は、「自然は常に、我々以上の想像力を持っていることを銘記すべきである。」と強調した。パルサー周囲の惑星やペガサス座51星の周囲で惑星系が発見されたことを例に挙げた。「二つの発見は、従来の常識とは全く相反している。パルサーが惑星を持ち、ペガサス座51星から水星−太陽間よりもはるか近距離に木星大の惑星が存在することなど想像できなかった。今までの常識では、どんなにものすごく大きい惑星でも蒸発してしまうはずの距離だから」と語った。

 ダイソンは二つの仮説―1)惑星は主星の近くにだけ存在する。―2)惑星には知的な生物が存在する、に警鐘を鳴らした。「いずれもまこといかがわしい仮説です」との発言に、会場からどっと笑いが起こった。ダイソンはその理由を説明しはじめた。

 ダイソンによれば、おそらく銀河には、恒星系に属さない惑星がたくさんあるだろう。恒星はガスや塵の雲が凝縮してできたと考えられている。この凝縮物質から惑星でなく、恒星が出来たのかそれは分からない。太陽の重元素で5000個の地球が出来たはずである。従って、銀河系の恒星1個につき、5000個の惑星が散在していてもおかしくない。

 これが真実でないとしても、様々な文明は惑星の枠を超えて宇宙にコロニーを建設するだろう、とダイソンは考える。 「人類はこの地球を目茶苦茶にしているので、この非常に美しい地球環境を破壊から救うために、遠からずどこか他の天体に移住しそこでもっと自由に、もっと慎ましやかに生きるようになるだろう」と、ダイソンは推測する。

 ドレイクは地球外の生命が発見された場合、セチに関する国際的な取り取り決めがどのようなもであるべきについて触れ、煎じ詰めれば、「人工物体により電波干渉や非知的自然現象に翻弄されないことと、個人が(知的生命として)感知した事は、即刻公表することである。」と語った。


セチの将来

 政府援助によるセチ計画はメタII(惑星協会が一部資金を負担して建設され、アルゼンチンにより運用されている)だけである。他の全てのセチ計画は民間の研究所に委ねられている。惑星協会はBETAの資金援助に加え、メタIIを使ってどこか他所で探査を続るための科学者と設備の収容施設を捜している。

 また、セチを啓蒙すべく、The Bioastronomy News(宇宙生物学ニュース)という季刊回報を発行している。

 現在のセチ装置のパワーは、1960年に比べ倍増している。ベータは、オズマ計画のほぼ3兆倍も強力である。「セチのパワーは、限りなく増強されると思われる。何故なら、コンピュータ業界は、もっと強力なセチの装置を約束する新しい手ごろな値段の集積回路とコンピュータを製造している」と、ドレイクは語った。

 「セチの達成は簡単でない。何年も掛かるかもしれない。何十年かもしれない。でも結局は、その艱難は乗り越えられる。なぜなら、ホロビッツが確約したように、彼方に文明が存在するからである。私もそう思う。その文明を見つけることがどの位難しいか、それはわからない。しかし、必ず見つけられる。それをここで、皆さんにお約束する」と、ドレイクは話しを結んだ。
(文中敬称略)


注:セレンディップ(SEREVNDIP)とは、「高度に発達した近傍の知的種族から発せられる地球外的発信電波を探査すること(Search for Extraterrestrial Radio Emission from Nearby Developed Intelligent Populations)」で、スチュアート・ボイヤー博士の主導で始められた。このセレンディップはアレシボ電波望遠鏡に設置されて、天文学者が捕捉する電波信号なら何処から飛来したものでも検査する。

 プロジェクト・ベータの実施の技術面を実質的に取り仕切ったセレンディップのダン・ワーシマー博士は、この新しいセレンディップ装置の完成にあたり、「NASAからの資金が全く無いので、惑星協会は、資金難の我々を救ってくれた」と語った。