右の写真は鹿児島県内之浦の宇宙空間科学観測所から打ち上げられた「のぞみ」
2003年12月9日午前8時30分、宇宙航空開発機構(JAXA)は探査機「のぞみ」の火星周回軌道に投入を断念したと発表した。「のぞみ」は同年6月以来、2002年4月に発生した太陽フレアの影響で故障した電子回路の復旧に全力を尽くしたが、回復の見込みが立たないことが確認されたため、火星への衝突を回避する指令を発信した。「のぞみ」は12月14日、火星の地表から高度894kmまで最接近した後、火星の重力圏を離脱して太陽を回る軌道に乗った。
電子回路の故障にもかかわらず、ミッション関係者の懸命な努力により、「のぞみ」は2002年12月と2003年6月の地球スイングバイに成功し、ミッションの前途にやや明るい希望の兆しが醸成された。しかし、故障による電気系統の不具合のため主エンジンが噴射せず、火星到着目前で涙をのんだ。かくして、1978年7月4日の打ち上げ以来25年にわたる「のぞみ」の苦闘は結実しなかった。しかし、「のぞみ」の打ち上げは、惑星探査機の設計技術、スイングバイを含む惑星探査機の運用技術、遠距離通信及び軌道計画の柔軟な運用など、今後の宇宙の科学探査の発展のために数々の貴重な実績を収めた。 |