**********************************************************************        ☆☆☆☆☆ TPS/Jメール ☆☆☆☆☆ ********************************************************************** 今週のもくじ  ・YMコラム ・ヒューストンレポート  ・ホットトピックス ********************************************************************** ********************************************************************** ☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.451)    レンジャー7号のころ    日本の「かぐや」、中国の「嫦娥」、インドの「チャンドラヤ    ーン」という3機の探査機が現在月を周回しています。月の探    査の新しい時代が始まったのです。とりわけ「かぐや」は、次    々と豊富で精細なデータを提供し、月の科学を塗り替えつつあ    ります。しかし思い返してみると、人類の月探査は、実に困難    な幕開けだったのです。最初はなかなかロケットが月面に届か    なかったんですね。    もちろん当時月をめざした国はアメリカと旧ソ連の二国だけで    した。とりわけ1958年にパイオニアという月探査機打上げの第    1段ロケットの爆発から始まったアメリカの挑戦は、次々と打    上げロケットが故障を起こし、1964年7月のレンジャー7号まで    は、14機が連続失敗という凄さでした。この中でわずかに部分    的な成功と言うことができそうなのは、1959年のパイオニア4    号(目的とは異なるが初の人工惑星)と1964年のレンジャー6号    でしょうか。この凄まじい失敗の連続は、「よく国民がクレー    ムをつけなかったな」という感じですが、むしろ当時の旧ソ連    との宇宙競争の激しさ・熱さを示すものと言えるでしょう。    1964年7月28日にアトラス・アジーナ・ロケットで発射された    366kgのレンジャー7号は、7月31日に「雲の海」に衝突、月面    に降下しながら、衝突の瞬間まで撮影を続け、4316枚の写真を    届けることに成功したわけです。2種類のカメラが使われました。    一つは視野角25度、口径25ミリ、口径比1の広角カメラです。    もう一つは視野角8度、口径75ミリ、口径比2のカメラでした。    秒速1.6 kmで動いている探査機から写真を撮るので、露出の時    間は200分の1秒から500分の1に抑えられました。    代表的な1枚の写真を見ていただきましょう。まず以下の写真は、    月面から1335 km上空から撮影した雲の海です。    http://master.redorbit.com/images/gallery/the_moon/    guericke_crater_as_seen_by_ranger_7/16/10/index.html    上が北、右が東です。太陽は23度の高さで西空にありました。    これ全体が関東平野くらいの広さで、「ゲーリッケ」と名づけ    られたクレーターが見えています。白っぽいのは陸地で暗い部分    が「海」と呼ばれた低地ですね。この1枚の写真を前にして、当    時大学生だった私は、あれこれ想像をたくましくしたものです。    なつかしいですね。    これだけを小学生や中学生に見せて議論させると面白いですよ。    みなさんならこの写真からどんなことを読み取っていただけるで    しょうか。まず「ゲーリッケ・クレーター」に注目しましょう。    クレーターというのは、普通は地球上の火山の外輪山のように周    囲に壁が聳えているものなのですが、このクレーターの東から北    にかけての壁は、暗い色の物質に押し流されており、クレーター    内の北東部もその暗い海みたいになっていますね。ゲーリッケの    西南西のクレーターの西側にも海の物質が流れているみたいだし、    ゲーリッケの中には新しい小さなクレーターがあって、ゲーリッ    ケができた後で別の小さな物質がそこに衝突したものでしょう。    またゲーリッケの西側は白っぽい隆起した地形で、ここにはこま    ごました小さいクレーターがたくさんありますね。月面の小さい    クレーターの衝突が毎年同じような割合で起きていた現象ならば、    小さいクレーターがたくさんある地形の方がより古いと言えます。    なぜかと言えば、月では水や空気による侵食とか風化でクレータ    ーがなくなっていくということがないからです。    ということは、ゲーリッケ・クレーターとその周囲の隆起してい    る地形は、海ができる前からあったということになり、また北東    部の壁が押し流されたのは、海ができた頃なのだろうというよう    な推定ができていくのですね。海の中にある小さなクレーターは、    もちろん海ができた後で衝突したものでしょう。こうやって、こ    の1枚の写真から、ゲーリッケ・クレーター、海、陸という異なる    世代の3つの地形が、どういう順序でどうやって歴史的にできてき    たかを、少しずつ用心深くヒントを与えながら子どもに議論させ    るのです。地球上で地層の重なり方で年代を推定する授業があり    ますが、その応用問題として使えば、いい練習になります。    「かぐや」の届けてきているたくさんの画像から、そういったト    レーニングをするような教材をみなさんが制作してくださると心    強いのですが……。そのような努力を、日本中のみなさんと一緒    に粘り強く続けていきたいですね。どうかよろしくお願いします。                             (YM) このコラムに関するご意見・ご感想は下記アドレスまでお寄せ下さい。 matogawa@planetary.or.jp ********************************************************************** ☆☆ ヒューストンレポート ☆☆ (382号)    火星オービター巨大な氷の堆積を発見    古代衝突クレーター内にレーダーで発見    マーク・カリュウ    著作権2008年ヒューストン・クロニクル    テキサス大学の地質学者を主体とする科学者のグループは、無人    のNASA宇宙探査船からのデータは、火星には以前考えられていた    より、はるかに大量の氷があることを示唆していると報告した。    専門誌「サイエンス」によれば、火星のオービター、リコネッサ    ンスは土壌で覆われたいくつもの氷河・・・長さがロサンゼルス    市の3倍以上、厚さが1/2マイル(800m)もある氷河を含む・・・    を確認している。氷河は赤い惑星の温暖な気候条件の名残である    かもしれない。    今年はじめ、別の宇宙船であるNASAのフェニックス火星着陸船は、    この惑星の北極近辺で、土壌で覆われた平面をひっかいて、その    下に輝く氷の板を発掘した。    テキサス大学のジョン・W・ホルト氏が率いる11名の科学者チー    ムは、最新の発見を本日(11月24日)発行される「サイエンス」    誌上で発表する。「サイエンス」はアメリカの科学振興を目的と    する協会が発行している出版物である。    火星は冷たく、乾燥した世界である。でこぼこの地形のなかに流    域のように見えるものがあり、この惑星にかつて水が流れていた    か、水が溜まっていたことを示していると主張する科学者もある。    それに加えて、火星には回転軸の変化に連動した周期的な天候の    変動がある。これらの変動の間、北極は傾きを変えて、より高い    温度に接し、氷を溶かす可能性がある。    火星のオービターはレーダーを用いて、この惑星南半球の、古代    に小惑星が衝突したエリアであるヘラス・ベイスンを探査した。    7億ドルのプロジェクトの指揮をとる科学者たちは、このエリア    の山のふもと、および崖からのなだらかなスロープに注目してい    る。    軌道船からのレーダー信号は土壌で覆われたものを貫き、反射し    ているが、その波形は氷を通過した無線波と同じになっている。    宇宙船は北半球にも同じ形状のスロープが崖から伸びていること    を確認している。    もし、火星により多くの大気があり、気候をより温暖であれば、    水はなんらかの生命体を育んだかも知れない。水は将来の探検家    にとっても貴重である。その化学的要素である酸素と水素はロケ    ットの推力としても使用できるし、酸素は呼吸する空気の素でも    ある。    「これらの特徴はすべて、ほぼ確実に火星には大量の水が、極冠    以外のところに蓄積されていることを表している。」とホルト氏    は言う。    アリ・サファエニリ氏、NASAのジェット推進研究所の研究メンバ    ーの一人も、この考えに同意している。「これらの火星オービタ    ーから報告されたデータは、これらの緯度で大量の氷があること    を示す決定的な証拠である。」と、かれは言う。 Giant deposits of ice found by Mars orbiter Radar finds paydirt in ancient impact craters By MARK CARREAU Copyright 2008 Houston Chronicle ********************************************************************** ☆☆ ホットトピックス ☆☆    ● NASA、2011年に新たな木星ミッションの打ち上げを計画      NASAは2011年、8年ぶりに木星探査機ユーノーを打ち上げる      計画である。木星の探査は、ボイジャー1号(1979年3月)、      ボイジャー2号(1979年7月)及びガリレオ(1995年12月〜      2003年3月)に次いで3度目になる。    ● 今度は、地上の観測で恒星の周囲を回る惑星を直接撮影      ハッブル宇宙望遠鏡にきびすを接するように、今度は地上の      望遠鏡観測で恒星の周囲を回る系外惑星が直接撮影された。    ● スピリットとオポチュニティの現況      11月半ば現在、スピリットはダストストームの影響で活動を      停止中である。一方、オポチュニティは、最後の調査地点と      なるエンデバー・クレーターに向かって順調に走行している。 各記事の詳細は日本惑星協会ホームページでご覧になれます。 http://www.planetary.or.jp/ ********************************************************************** ********************************************************************** ■タイトル  :TPS/Jメール ■発行元   :NPO法人 日本惑星協会          http://www.planetary.or.jp/ ■発行日   :毎週水曜日 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