**********************************************************************        ☆☆☆☆☆ TPS/Jメール ☆☆☆☆☆ ********************************************************************** 今週のもくじ  ・YMコラム  ・ヒューストンレポート (今週は適当な記事がない為お休みします)   ・ホットトピックス(作成者の健康上の理由により当分お休みします)   ********************************************************************** ********************************************************************** ☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.472)    レバノン杉の周辺    先日「国旗の本」を眺めていたら、レバノンの国旗の真ん中に、    鬱蒼とした樹木がデザインされているのに気がついた。「これ    は何の木だろう?」と思う間もなく、国名からしてこれこそ    「いわゆるレバノン杉に違いない」と思い、インターネットを    検索したら、やはりそうであった。    http://www.sarago.co.jp/i/pictorial/pct-lb.html      それにしても奇妙な「杉」である。日本で杉と言えば、まっす    ぐに上に伸びた姿を想像する。しかし、このレバノン杉は、ま    るで桜か松の木のような感じで、幹と枝が荒々しく交錯した巨    木を連想させる。我慢できなくなって調べたら、やはり予感は    当たっていた。      レバノン杉は、ヒマラヤ杉などと一緒で、葉っぱの形がスギに    似ているのでスギと通称されてはいるものの、実はスギ科の植    物ではなく、マツ科のカラマツ亜科に属している。日本のスギ    とはまったく種類が違うということが分かった。驚くべきこと    に、樹高は40 m、太さは4 mにも達し、樹齢3000年にも及ぶ場    合もあるという。    プリニウスの『植物誌』には「この樹液を塗布すれば死体を保    存できる」とあり、古代エジプトにおいては、ミイラの腐食防    止にこの木の精油を用いたらしい。ということは貴重な樹木で    あることは分かるが、なぜ国旗にまで入れ込まれているのだろ    う? こうなるともういけない。どんどん疑問はどんどん深入    りして行って、ついに『旧約聖書』にまで久し振りで手を伸ば    すことになってしまった。これは糸川英夫先生から頂いた唯一    の本である。アポロ11号の月面着陸の日に、六本木の先生の事    務所で「蘭奢待」という字を筆で書かされた時に、そのご褒美    に与ったものである。    それはさておき、モーゼが死んだ後、彼の従者ヨシュアは、イ    スラエルの民を率いてヨルダン川を渡り、カナンの地へなだれ    込み、死海の対岸のエリコを陥落させ、そこを拠点として次々    に征服地を広げて、ついにカナン全土を獲得し、統一王国の基    礎をつくった。B.C.2150年頃のことだったと伝えられる。    その後四半世紀にわたるゆるやかな部族連合の時代を経て、初    めての王制は、王サウル驕りのためにわずか2年で崩壊し、ペ    リシテ人の攻撃によって危機に陥ったイスラエルの民を少年ダ    ビデが救った。少年は成長し、30歳で南イスラエル(ユダ族)    の王となり、やがて北の10の部族も従えて、史上初の統一イス    ラエル王国を建国した。これがB.C.993年。    ダビデの治世は28年にわたり、エルサレムを首都と定めて、領    土も北はシリア、南はエドム、東はアンモン、モアブまで、い    わゆる「ユーフラテス川からアカバまで」というイスラエル史    上最大の帝国を実現したのであった。    次の王ソロモンの時代に、イスラエルは繁栄を謳歌する。それ    にまつわる「シバの女王」は後ろ髪引かれる思いで省略すると    して、ソロモンの名を轟かせたのは、心血を注いだ神殿の造営    である。彼はレバノン杉に徹底的にこだわった。    『列王記』によれば、ソロモンはフェニキアのティルス(今日    のレバノン南部の都市ティール)の王ヒラムに懇願して、神殿    造営のためレバノンから杉を大量に切り出した。そのために    3万人の男たちを徴用し、1万人ずつ1ヵ月交替でレバノンに送    ったというから凄い。かくてレバノン杉をあらゆるところに使    った「レバノンの森の家」とまで言われる神殿をいくつも建造    したのである。    レバノン杉は強さが均質で、大きな構造を作るのに適している    という。だからフェニキア人はこの当時、レバノンを中心とし    て強力な都市国家を建設し、地中海に覇を唱えた。フェニキア    人が地中海の交易を独占し得たのは、レバノン杉で作った巨船    を操るすぐれた航海術だった。シリア・パレスチナはもちろん、    古代エジプトのテーベの各神殿を始め、遠くペルシアのペルセ    ポリスに至るまで、この杉は重用された。それはレバノン地帯    の富の源泉だったといえる。しかし、5000年以上にも及ぶ伐採    がたたり、2004年現在で1200本程度が残るだけになっており、    樹齢1200年以上のものが、400本ほど残っているという。    レバノンの中央部、レバノン山脈にある「カディーシャ渓谷と    神の杉の森」には、今なおレバノン杉が自生していて、ユネス    コの世界遺産に登録されている。    さて、ソロモンはB.C.926年に死去し、その40年に及ぶ栄華の    治世は終わりを告げた。その後約2世紀のあいだ分裂と混迷を    繰り返したイスラエルが、新興のアッシリアによって息の根を    止められたことは、人口に膾炙した歴史上の物語である。    なお、レバノン杉を見にいった人の興味深い旅行記が以下にあ    る。ご参考までに:    http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Oasis/4781/tripoli.htm このコラムに関するご意見・ご感想は下記アドレスまでお寄せ下さい。 matogawa@planetary.or.jp ********************************************************************** ☆☆ ヒューストンレポート ☆☆        (今週はお休みします) ********************************************************************** ☆☆ ホットトピックス ☆☆        (当分お休みします)       各記事の詳細は日本惑星協会ホームページでご覧になれます。 http://www.planetary.or.jp/ ********************************************************************** ********************************************************************** ■タイトル  :TPS/Jメール ■発行元   :NPO法人 日本惑星協会          http://www.planetary.or.jp/ ■発行日   :毎週水曜日 ■発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』          http://www.mag2.com/ ■マガジンID:0000022732 「TPS/Jメール」は、上記URLよりいつでも登録/解除可能 です。 ********************************************************************** **********************************************************************