**********************************************************************        ☆☆☆☆☆ TPS/Jメール ☆☆☆☆☆ ********************************************************************** もくじ  ・YMコラム  ・ヒューストンレポート    ・ホットトピックス(作成者の健康上の理由により当分お休みします)   ********************************************************************** ********************************************************************** ☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.478)    皆既――宇宙のただ中にいる自分    2009年7月22日、パシフィック・ヴィーナス号の船上で見た皆既    日食は、これまで感じたことのない不思議で神秘的な数分間で    した。強いて比較するならば、ノルウェーのアンドーヤ・ロケ    ット基地でオーロラを初めて見たときと似ているかも知れませ    ん。地平線の彼方にぼんやりとした明かりが現れたと見る間に、    みるみるうちにその明かりが、広大にひらけた見渡す限りの全    天に、まるで無数の豆電球が素晴らしい勢いで灯っていくよう    に拡がって行ったかと思うと、やがてその一角がゆらゆらとカ    ーテンのように揺れ始めました。そう、まさに夢を見ているよ    うな時間が過ぎていきました。    遥かな地球の尻尾から磁力線に巻きつきながら高速で飛来した    無数の粒子が、大気の粒子にぶつかって、光を発している。そ    うだ、あれは確かに「豆電球」だったんだ!と気がついたのは、    興奮が冷めてしばらく経った時のことでした。日本に帰って、    得意満面に私の撮ったオーロラの写真を見せたら、ほとんどの    人の反応は一緒でした――「ワーッ、キレイ! 最近のカメラ    ってよく写るんですね!」 そういえば私のしたことは、カメ    ラを三脚にセットして、開放にした後、20秒ぐらいでシャッタ    ーを閉じるという動作だけなのでした。    そして日食。はるかな徐々に太陽が欠けてくる間に、船のデッ    キには大勢の人々がひしめき合っていました。近くの人たちと    「木もれ日」を工夫したり、それを写真に撮ったりしながら、    私の心は太陽のこちら側を通過しつつあるお月さまのことを想    像していました。何しろ太陽が確かに「食べられて」いる様子    が見えるだけで、「食べている」月の姿は陽には目撃できない    のですから、心眼で見る以外にテはないわけです。    そのうち、その見えない月は38万kmの彼方にあるのだという気    持ちがムクムクと頭を擡げてきて、じっとそれが存在している    はずの位置に目を凝らしているのでした。私の両眼と月との間    にある距離に比べて、あの太陽を「食べている」月は何と小さ    いのだろう。直径わずか3500 km。底面直径の100倍以上の高さ    を持つ、実に細長い円錐の影が、あの位置からこちらに向かっ    て、今の瞬間に伸びてきている。しかもその影をつくりだして    いるもとの光は、1億5000万kmも向こうにある。この円錐現象    の巨大なスケールを頭で描きながら、その細く長大な宇宙の円    錐の先端に自分がいる――私は茫然とした気分で立ち尽くして    いました。    そして第二接触の時刻が刻々と近づいてきます。少し離れたと    ころに浮かんでいる雲が、急激に暗い色に染まっていきます。    そして遂にダイアモンドリングが荘厳な輝きを見せました。    「ワーッ」とか「ホーッ」という声がデッキのあちらこちらか    ら聞こえてきました。2、3秒の後、皆既の時間が訪れました。    デッキは静まり返り、まるで「永遠の静寂」がやってきたかの    よう。息をのんでいるという空気が、あたりを支配しています。    本当に静かな静かな時間が悠々と過ぎていきます。    「アーッ」という溜め息のような歓声――日食グラスを外すと、    デッキのほとんどみんながぐるりと360度の水平線を見つめて    います。そこには茜色に染まった美しい空が、「夕焼け」の色。    こんなに幻想的で大規模な「夕焼け」がこの世にあったなんて。    近くの雲が真っ黒なのに、雲の開いている空間に茜色の筋が明    るく輝きを見せています。しばしうっとりとして眺めている耳    に、またまた「見えた、見えた、金星だぞ」の声。実は私が密    かに待っていたのは、この瞬間でした。真昼間の空に一直線に    並ぶ金星、皆既の太陽、水星。太陽・金星と一緒に正三角形を    なして南に光っているのは、シリウスに違いない。やがて慣れ    てきた眼には、シリウスと金星の間にベテルギウス、その南西    にリゲル。金星の少し北にはカペラ。残念ながら私の眼では、    オリオンの三つ星もアルデバランも見えません。急いで水平線    近くに目を移しました。カノープスが水平線から十数度のあた    りまで昇っているはずだけど。目を凝らしましたが、……無理    でした。残念。    こんなに必死でしかも急いで星を探したことがあっただろうか。    懸命に視力をいっぱいに働かせながら、久し振りで夢のような    時間が過ぎて行きました。第三接触への期待が、船上の人々の    気分の中に漲っているように感じ始めたころ、来ました、来ま    した。皆既のコロナをバックにしたダイアモンドリングが、く    っきりと浮かび上がったと思う間もなく、コロナは消えて行き、    そしてダイアモンドリングだけがくっきりと浮かび上がり、つ    いで再び部分食の時間に入りました。    その後の何だか満ち足りたような気だるいような時間の経過は、    語る気がしません。それは皆既の6分間に比べて、なんと日常    的でゆったりとした流れになったのでした。これからも、何度    も何度も思い出すに違いないあの日のことは、今となっては言    葉にすることが惜しいような気がしています。(YM) このコラムに関するご意見・ご感想は下記アドレスまでお寄せ下さい。 matogawa@planetary.or.jp ********************************************************************** ☆☆ ヒューストンレポート ☆☆ (407号)    エンデバー歴史的ミッションを終える    エリック・バーガー    ヒューストン・クロニクル    8月1日    スペース・シャトル・エンデバーはスムーズに滑空し、金曜日    (7月31日)早朝フロリダ州ケネディ宇宙センターへ着陸し、    16日間におよぶ国際宇宙ステーションをアップグレードするミ    ッションを成功裏に完了した。    このミッションは5回の船外活動により、日本の実験棟に新し    い実験施設を取り付け、太陽光発電の電気を蓄える古いバッ    テリーを取り換えた。    「おめでとう。始めから終わりまで、すばらしいミッションだ    ったよ。よくやったね。」とミッション・コントロールの宇宙    飛行士アラン・ポインデクスターが無線で放送する。    エンデバーは宇宙ステーションへ行く29回目のミッションであ    るが、NASAはバラク・オバマ大統領がシャトル・プログラムを    継続すると言わない限り、あと7回のミッションで終了する。    このミッションは、デンデバーの7名と宇宙ステーションの居    住者6名が一堂に会したことで、宇宙における人類のもっとも    大きい集団をつくったことでも歴史的である。    次のシャトル・プログラムはシャトル・ディスカバリーを8月    末に宇宙ステーションに打ち上げる予定である。宇宙ステー    ションの科学的研究の容量を強化するのが目的である。    Endeavour ends historic mission    By Eric Berger    Houston Chronicle ********************************************************************** ☆☆ ホットトピックス ☆☆         (当分お休みします)       各記事の詳細は日本惑星協会ホームページでご覧になれます。 http://www.planetary.or.jp/ ********************************************************************** ********************************************************************** ■タイトル  :TPS/Jメール ■発行元   :NPO法人 日本惑星協会          http://www.planetary.or.jp/ ■発行日   :毎週水曜日 ■発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』          http://www.mag2.com/ ■マガジンID:0000022732 「TPS/Jメール」は、上記URLよりいつでも登録/解除可能 です。 ********************************************************************** **********************************************************************