**********************************************************************        ☆☆☆☆☆ TPS/Jメール ☆☆☆☆☆ ********************************************************************** もくじ ・PSコラム (入信あり次第配信します)  ・YMコラム  (臨時号として配信します) ・ヒューストンレポート    ・ホットトピックス(作成者の健康上の理由により当分お休みします)   ********************************************************************** ********************************************************************** ☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.481)    韓国の衛星、軌道に乗らず失敗    韓国は、さる8月25日午後5時(現地時間)、ソウルの南485 km、    全羅南道にある羅老(ナロ)宇宙センターから、100 kgの衛星    「羅老1号」を搭載したKSLV-1(羅老1)ロケットを南に向けて    打ち上げました。7回の延期を経た、待ちに待った打上げでし    た。ロシア製の1段目エンジンRD-191(ケロシン/液体酸素)    は順調に燃焼、10秒後に高度約900 mに達したあたりで姿勢を変    える「キックターン」を実施、沖縄近海の上空を飛んで、ノー    ズフェアリングを分離(215秒、高度177 km、韓国製)しました。    しかし二つに割れたフェアリングのうちの一つがきちんとロケ    ットから離れ切らず、以後ロケットはフェアリングをぶら下げ    たまま飛翔を続行した模様です。そのまま1段目と2段目の分離    が232秒、高度196 kmで起き、韓国製の2段目モーター(固体燃    料)に点火(395秒、303 km)されました。ここまでは恐らくす    べてのシーケンスがタイマーでコントロールされていたのでし    ょう。そして分離した1段目はフィリピン近海に落下しました。    次の決定的なイベントは、発射後540秒、高度約306 kmにおける    2段目からの衛星分離だったのですが、これがうまく行かなかっ    た模様で、やっと高度約342 kmになって衛星分離がされたと発    表されています。この辺の衛星軌道投入のアルゴリズムは発表    されていないので不明ですが、慣性誘導でも電波誘導でも、速    度がきちんと増加していかないと衛星分離のタイミングは遅れ    て行くわけです。フェアリングがずっとぶら下がっていたので    速度が上がらず、結局分離に許された時間のリミットまで飛ん    で、衛星が切り離されたのではないでしょうか。その時は衛星    になるための速度は達成されていなかったのでしょう。衛星は    速度不足のまま飛翔経路の頂点に達した後、海に向かって落下    を開始、途中で濃い大気によって燃え尽きたものと思われます。    もちろん2段目もフェアリングもろとも海に落ちたか、燃え尽    きたでしょう。    当初の当局の発表は「目標の軌道に投入することには失敗した」    というものだったのですが、「では目標ではない軌道には投入    されたのか」と言えば、どうもマスコミの突っ込みもいま一つ    で、そこの肝腎のところは情報がなかったのですね。因みに、    目標としていた軌道は、近地点300 km、遠地点1500 kmです。た    だし、きちんと追跡していれば、「ともかく衛星軌道には投入    した」と発表するでしょうし、この原稿を書き始めた、打上げ    から15時間の時点で「衛星の捕捉」について発表がなかったの    で、その時には、衛星は「地球周回軌道に乗らなかった」か    「軌道には乗ったが行方不明になった」か、どちらかだろうと    思っていました。もし「軌道には乗ったが行方不明」というの    であれば、そのうちアメリカのNORAD(北米防空司令部)のレー    ダー網が捕まえてくれるだろうと考えていた矢先に、ラジオ・    オーストラリアのニュースから、上記のフェアリング分離失敗    のニュースが飛び込んできたというわけです。「羅老1号」ス    ピン衛星で、独自の推進装置を持っていないので、自分で軌道    を修正できないことは分かっていましたが、速度がもともと衛    星になるには不十分だったのでは、まあ話にならなかったわけ    ですね。    それにしても、フェアリングの分離が、なぜロケットに搭載し    た2台のカメラ、あるいはテレメータの信号によって確認され    なかったのか、不思議ですね。当局から発表された速報では、    「ノーズフェアリングは無事分離された」と言っていたしね。    フェアリングは韓国製と聞いていますし、今年パリで会った韓    国の友人は、「フェアリングは何度もテストを繰り返した」と    言っていましたけど。    これまですでに10個の衛星を外国のロケットで外国の基地から    打ち上げている韓国の技術者たちは、さぞかし歯ぎしりをして    いるでしょう。心中お察しいたします。もし軌道に入ってさえ    いれば、韓国は10番目の衛星打上げ国になっていたんですが……。    先行した9ヵ国を順番に言いましょうか。ソ連でしょう、アメ    リカでしょう、フランスでしょう、日本でしょう、それに、中    国、イギリス、インド、イスラエル、そして今年2月にイラン    が「サフィール2」というロケットで実験用通信衛星を軌道に    乗せて仲間に加わりました。    今回の打上げとしては現在のところこれ以上の情報がないので、    いい機会ですから周辺情報を整理しておきましょう。韓国は、    さる8月19日(水)午後5時(ソウル時間)に、「羅老1号」を    打ち上げる予定だったのですが、1段目の燃料タンクの内圧が    異常に低下し、ヘリウムガスで作動する弁がうまく働かなく    なるという不具合が生じたため、打上げ予定時刻の8分(正確    には7分56秒)前に秒読みを中止し発射を延期しました。その    ため1時間前に充填を終えたばかりの燃料(ケロシン)と酸化    剤をタンクから抜き始めました。    1段目を製作したのはロシアなので、韓国の技術者が共同で原    因の究明に当たりました。とは言っても、この場合実質上は、    ロシア側が主導権を握っていたでしょう。目に見えるようです。    その結果、タンクの圧力自体は正常だったのですが、測定する    センサーないしソフトウェアが「圧力が規定値以下」という報    告をし、自動打上げシーケンスが打上げ中止を指示したという    流れが判明しました。韓国の技術者たちのボヤキが聞こえてく    るような気がしますね。その誤謬を修復してロケットを再び組    立棟に戻し、再注入して打上げ作業に再び入ったわけです。そ    の前日の火曜日に全体を通してのリハーサルを8時間かけてや    ったのですが、このときは推進剤を注入していなかったために、    このバルブのような騒ぎは起きなかったのだと思われます。    KSLV-1ロケットは、全長33 m、直径2.9 m、全備重量140トンで、    ロシアのクルニーチェフ宇宙研究生産センターが製作した液体    燃料の1段目は170トンの推力を出します。クルニーチェフは、    現在世界をまたにかけて商業打上げを進めている「アンガラ・    ロケット」のハードウェアを製作している企業です。また衛星    と結合している2段目は韓国製で固体推進剤を用いており、推    力8トンです。また韓国先進科学技術大学(KAIST:Korean    Advanced Institute of Science and Technology)が製作した    衛星「羅老1号」(1000万米ドル)には、STSAT2というマイク    ロ波の電波計測器が搭載されており、地球大気中の放射線エネ    ルギーを計測する予定でした。もう一つ、地上局が衛星を精確    に追跡できるようにレーザー反射器も取り付けられています。    さて、打上げに責任を持っている韓国航空宇宙研究院(KARI:    Korean Aerospace Research Institute)は、現在ロシアのクル    ニーチェフの技術者たちを交えて、懸命に今回のデータを解析    中でしょう。もともとは、今回の打上げが終わったら、2010年    4月に1機、2011年にもう1機の打上げを予定していました。韓国    は、KSLV-1の開発には4億米ドル強をかけており、韓国としては、    2018年までにすべてロケットを国産で作るようになり、2025年    に月へ探査機を送りたいとの意向を述べています。また韓国は、    昨年4月に韓国女性(イ・ソヨンさん)をロシアのソユーズロケ    ットに乗せて国際宇宙ステーションに送り、11日間滞在させて    います。 このコラムに関するご意見・ご感想は下記アドレスまでお寄せ下さい。 matogawa@planetary.or.jp ********************************************************************** ☆☆ ヒューストンレポート ☆☆ (408号)    ディスカバリー8月25日の打ち上げ認可    エリック・バーガー    著作権 ヒューストン・クロニクル     2009年8月19日    2日間に及ぶディベートの後、宇宙シャトル・プログラム・マネ    ジャーは、シャトル・ディスカバリーを8月25日(火曜日)中部    夏時間12:36am に打ち上げることを認可した。    審査では7月に打ち上げたエンデバーの予期しない場所からはが    れ落ちた、シャトルの外部燃料タンクをカバーする泡状絶縁体    のことも議論された。      シャトル・ディスカバリーは国際宇宙ステーションへの13日間の    ミッションで、食糧、科学機器を含む供給物資を運ぶ。また、コ    メディアンのステッファン・コルバートにちなんでコルバートと    名づけられた2台目の「トレッドミル」(トレーニング器具)も    運ぶことになっている。    Discovery cleared for Tuesday launch    By Eric Berger    Houston Chronicle ********************************************************************** ☆☆ ホットトピックス ☆☆         (当分お休みします)       各記事の詳細は日本惑星協会ホームページでご覧になれます。 http://www.planetary.or.jp/ ********************************************************************** ********************************************************************** ■タイトル  :TPS/Jメール ■発行元   :NPO法人 日本惑星協会          http://www.planetary.or.jp/ ■発行日   :毎週水曜日 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