**********************************************************************        ☆☆☆☆☆ TPS/Jメール ☆☆☆☆☆ ********************************************************************** 今週のもくじ  ・PSコラム     ・ヒューストンレポート (配信済み)    ・ホットトピックス (作成者の健康上の理由により当分お休みします)      ********************************************************************** ********************************************************************** ☆☆ PSコラム ☆☆ (第48回)    「教えることは学ぶこと」    8月のお盆休みの1日、私の住む田舎町の小さなサークルの人々    のために、星空の下で夏の星々の話をする会を開くことになっ    た。ところが私は惑星科学者ではあるが、天文学者ではないし、    どの星がどういう名前か、どういう由来を持つものなのかなど    と言ったことなどについて詳しい知識はない。そこで聴衆のみ    なさんには、夏の大三角など、夏の星空について私が知ってい    ることを雑談的に話すことにした。      この町では、空気がきれいなので天気さえ良ければ、天の川は    よく見えるし、満天を彩る沢山の星が見える。物が沢山あるこ    との譬えに、「星の数ほどある」という言い回しがよく使われ    るが、この地域の夜空には本当に数え切れないほどの星がある。    それでは「星の数ほどある」という「星の数」とは具体的には    どれくらいの数なのだろうか。肉眼でみえる6等星以上の星の    数は8600個ほどあるというから、南半球でしか見えない星    や冬の星座の星は、この町の夏の夜空では見られないことを考    慮すると、目のまえに拡がる夜空には、およそ8600の3分の1    程度の3000個程度の星が輝いて見えるはずである。      という訳で、「星を見る会」では「星の数」から話を始めよう    と思ったが、双眼鏡を持って来ている人にはどのくらいの数の    星が見えるのか、国立天文台のすばる望遠鏡のような大きな望    遠鏡ではどの位、暗い星まで見えるのか、質問する人もいるに    ちがいない。そこで「理科年表」を開いて星の明るさごとの星    の数を調べてみた。結果は次の表の通りだった。 実視等級  -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 全天の星の数 2 7 12 67 190 710 2000 5600 1.6E+04 4.3E+05 1.2E+05 この表から暗い大きな星ほど沢山あることがわかる。その上、    等級が1増える毎に、星の数はおよそ3倍ずつ増えるという規則    性もあることがわかった。    それでは口径3cmほどのレンズを持った双眼鏡では、どの程度    の星がみえるのだろうか。人間の瞳の大きさはおよそ6ミリ程度    と言われているので、3cmの双眼鏡は(30/6)の二乗、すなわち    人間の目より25倍の光を集めることができる。これから、この双    眼鏡では人間の目より25倍暗い星まで見えるはずということにな    る。星の明るさは等級が1増えると、およそ2.5分の1ずつ減    ってくるので、25分の1暗い星というのは人間の目でみえる6等    級の星よりも3.5等級くらい星ということになる。すなわちこ    の双眼鏡を使う人には9.5等級の星までみえる計算になる。星    の数で言えば上の表から12万以上の星が見えるはずだ。ちょっと    した双眼鏡で、夜空の世界はこんなに広がるものなのだ。    国立天文台の口径8.2mの望遠鏡を使うと、同じような計算か    ら人間の目よりも16等級も暗い星が見えるということが分かる。    すなわち22等級の星まで見えるのだ。星の数は1等級増えるに    つれて、3倍づつ増えてくると言う規則を使うと、すばる望遠鏡    では6等級の星の4300万倍(=3の16乗)の星、すなわちおよ    そ2400億個の星が見えるはずという事になる。だから天文    学者は一生涯を費やしても、夜空の星を全部見るというような    ことは出来ないわけだ。大型望遠鏡の威力をまざまざと知る結    果になった。      こんな事を私はこれまで計算したこともなかった。夜空の星につ    いての雑談を整理する内に、私は新しいことを勉強させられるこ    とになったのだ。学校の授業でも同じような経験をさせられたこ    とがよくあった。学生の前で講義をしようとすると、自分がいか    に軽薄な知識しか持っていなかったかを実感することがしばしば    あった。まさに「教えることによって学ぶ」という先生の冥利を    ふたたび味わうことになった。      さて、お盆休みの「星を見る会」の首尾はどうだったか、って。    8月15日、私の町の空は全面に雲がかかり、1個の星さえ見ること    が出来なかったのです。前夜も、翌夜も晴れてきれいな星空が見    えたというのに。講師の日頃の行いがこんな時に表れるのですか    ね。 このコラムに関するご意見・ご感想は下記アドレスまでお寄せ下さい。 pscolumn@planetary.or.jp    ********************************************************************** ☆☆ ヒューストンレポート ☆☆     (配信済み) ********************************************************************** ☆☆ ホットトピックス ☆☆     (当分お休みします) 各記事の詳細は日本惑星協会ホームページでご覧になれます。 http://www.planetary.or.jp/ ********************************************************************** ********************************************************************** ■タイトル  :TPS/Jメール ■発行元   :NPO法人 日本惑星協会          http://www.planetary.or.jp/ ■発行日   :毎週水曜日 ■発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』          http://www.mag2.com/ ■マガジンID:0000022732 「TPS/Jメール」は、上記URLよりいつでも登録/解除可能 です。 ********************************************************************** **********************************************************************