**********************************************************************        ☆☆☆☆☆ TPS/Jメール ☆☆☆☆☆ ********************************************************************** 今週のもくじ  ・PSコラム     ・ヒューストンレポート (配信済み)    ・ホットトピックス (作成者の健康上の理由により当分お休みします)      ********************************************************************** ********************************************************************** ☆☆ PSコラム ☆☆ (第49回)    「火星に出来た新しいクレーターに氷を発見」    火星探査機マーズ・ルコネッサンス・オービター(以下MROと    省略する)の科学チームは、1週間前の9月24日に「火星に新    しく作られたクレーターから飛び出した氷を発見した」とい    うニュースを発表した (http://www.nasa.gov/mission_pages/MRO/news/mro-20090924r.html)。    このニュースでは、2008年10月18日に写されたMROの地形    カメラの画像と2009年1月14日に写された画像を並べて紹介    されている。10月18日の画像には直径8メートルほどのクレ    ーターが写されており、そのクレーターの縁に氷のような白    い物体があるのがハッキリとわかる。それに対して同じクレ    ーターを写した1月14日の画像では、クレーターの周辺を取    り囲んでいた白い物体の大半が消滅している。これはクレー    ターから飛び散った氷が、昇華して消えてしまったことを意    味している。      火星の極地方に氷があるのはよく知られているが、火星の中    緯度地帯の地下に氷が確認されたのはこれが初めてである。    これはかって火星が温暖な気候を示していた時代に海や湖を    作っていた水の痕跡ではなかろうかと、MROの科学者達は言    っている。      これはこれで大変面白い発見であるが、私にはMROのカメラ    が“出来たて”のクレーターを発見したことに興味を持った。    少なくともここで示されたようなクレーターはこの時期以前    の火星探査機のカメラには写されていないので、これが1,    2年以内に作られたものだと言うことが分かる。しかもその    ような若い(英語ではこのような出来たてのクレーターをフ    レッシュ・クレーターと呼ぶ)クレーターが、カリフォルニ    ア州ほどの面積に100個以上見つかったというのである。    これらのクレーターの直径は2メートルから10メートルほ    どで、深さ0.5メートルから2.5メートルほどだという。    1年のうちに100個も新しいクレーターが火星に作られつ    つあるのである。小さなクレーターだから、地球から見ても    火星の表面が変わって見えるわけではないが、チリも積もれ    ば山となる。火星のカリフォルニア州程度の面積のうち、新    しくできたクレーターが1年間に掘り起こした総面積は100    平方メートルほどになる。カリフォルニア州全体の面積は    400平方キロメートルほどであるので、400万年ほどの    間に火星全体が掘り起こされることになる。400万年とい    うのは長い時間のようだが、火星の歴史の上では短い時間だ。    言い換えると火星の表面は400万年ほどの間に、隕石の衝    突によって全部掘り返されるので、火星表層にあった氷は一    度表面に放り出され、昇華して消えてしまった筈である。こ    う考えると今回見つけられた地下数10cmにあった氷のも    とは、隕石による掘り返しによって影響されない、もっとも    っと深い場所からしみ出してきて、火星表層にトラップされ    たものだろうと想像される。    いずれにしても、火星の水の謎は結局のところ火星の地下構    造が分からないと解明されないと私は思っている。地下構造    がわかって、はじめて火星の水循環のサイクルが分かってく    る。そしてそれから、火星の生命の歴史の解明が進むのだ。    しかしながら、現在NASAは火星の地下構造を探る探査は計画    していない。日本の火星探査が火星の科学の上でもっとも重    要なカギを握っていると思われる火星の地下に目を注ぐ日が    来ることを期待したい。 このコラムに関するご意見・ご感想は下記アドレスまでお寄せ下さい。 pscolumn@planetary.or.jp    ********************************************************************** ☆☆ ヒューストンレポート ☆☆     (配信済み) ********************************************************************** ☆☆ ホットトピックス ☆☆     (当分お休みします) 各記事の詳細は日本惑星協会ホームページでご覧になれます。 http://www.planetary.or.jp/ ********************************************************************** ********************************************************************** ■タイトル  :TPS/Jメール ■発行元   :NPO法人 日本惑星協会          http://www.planetary.or.jp/ ■発行日   :毎週水曜日 ■発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』          http://www.mag2.com/ ■マガジンID:0000022732 「TPS/Jメール」は、上記URLよりいつでも登録/解除可能 です。 ********************************************************************** **********************************************************************