**********************************************************************        ☆☆☆☆☆ TPS/Jメール ☆☆☆☆☆ ********************************************************************** おしらせ 少し遅くなりましたが、「2010年アメリカ版カレンダー」の申し込 みの受付をはじめました。地球上空600kmの軌道上を周回するハッブ ル宇宙望遠鏡のほか、NASAが2003年に打ち上げたスピッツァ赤外線 望遠鏡が加わり、馬頭星雲からオリオン星雲まで、深宇宙の神秘的 な画像集となっています。お申し込みは日本惑星協会のホームページ のトップページ左側のショッピングをクリックして下さい。 http://www.planetary.or.jp ********************************************************************** ********************************************************************** もくじ  ・YMコラム  ・ヒューストンレポート (今週はお休みします)    ・ホットトピックス(作成者の健康上の理由により当分お休みします)   ********************************************************************** ********************************************************************** ☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.490)    月に大量の水を発見――アメリカの探査機LCROSS    月の南極に近いところに、大きなクレーターがいくつかありま    す。鋭く険しい外壁に囲まれたその内部は、太陽が真横からし    か照りつけることがないため、もう数十億年もの間、闇に包ま    れたままになっていました。その一つに、イタリアのジェスイ    ット派の僧侶にして哲学者ニッコロ・カベオ(1586-1650)に    因んで命名された直径約100 kmの大きなクレーター「カベウス」    (南緯85度、西経36度)があります。    2009年10月9日のこと、数十億年の静寂を破って、この「カベウ    ス」クレーターに、アメリカ航空宇宙局(NASA)のロケット    「セント―ル」が打ち込まれました。衝突時のスピードは時速    9000 km。セント―ルの重さは2200 kgもあります。クレーター    の底から、ガスと細かいダストの一団と、カーテン状態の重い    破片の一群が、豪快に飛散しました。数十億年もの極寒の沈黙    から解き放たれた荘厳な乱舞でした。    この衝突の瞬間を38万km離れた地球上の名だたる天文台や多く    のアマチュア天文家たちの望遠鏡が緊張のうちに待ち構えてい    ました。事前の計算によると、その舞い上がるプルームは月面    から10 kmくらいの高さに達するだろうと言われていたからです。    しかし実際には1.6 kmあたりに達しただけでした。地球上から    の観測の網には一切かからなかったようです。    でもそのセント―ルの衝突の4分後に同じターゲットに激突した    観測機LCROSSが、セント―ル衝突の際の飛散物を、9機のカメラ    と分光計を使って落下しながら観測していました。そして大量    の水や水蒸気を見つけたのです。セント―ルの衝突によってで    きた穴は直径20 mほどですが、そこから美しく飛散したプルー    ムは60〜80 mもの広がりを見せ、そのプルームの中に、LCROSS    搭載の近赤外線の分光計が水の氷と水蒸気を、また紫外線の分    光計が水酸基(OH)を見つけました。    今回プルームの中に確認された水の量は、100 kgにも及びます。    バケツ数十杯もの水ですね。これはすごい。たまたま1ヵ所に    空けた穴にこれだけの水があるということは、周辺を掘れば掘    るほど水が続々と出てくることになるという期待が膨らみます。    そうです。まるで石油を掘り当てた時のようなドキドキするよ    うな予感があります。    もちろんこの発見で月が地球のほとんどの地域のように湿った    土地だということになるわけではなく、地球の非常に乾燥して    いる地帯に比べれば水気があるというだけのことですが、それ    でも今後の人類の月の探査・開拓には大きな意味を持つ画期的    な発見です。    月の南極に近いところのクレーター内部には、太陽の光が永久    に射さない場所(永久影)があり、これまでの月の探査によっ    て、そこは非常な低温なので凍ったままで大量の氷が存在して    いるのではないかと推定されていました。そこに1998年、アメ    リカの月探査機「ルナー・プロスペクター」が水の主成分であ    る水素を見つけていたからです。しかも月面には、インドのチ    ャンドラヤーンという月探査機に搭載したアメリカの機器や他    の探査機によっても、大変はかないぐらいの量だけれども水が    とにかく見つかってはいました。「フットボールの競技場くら    いの土からスプーン一杯ぐらいの水が見つかるかもしれない」    などと言っていたのは、ついこの間のことです。今回の快挙は    その水を一挙に大量に見つけたところにあります。    加えて、今回は水以外の物質も飛散物の中には見つかっていま    す。それらは、月が現在の姿になった遠い昔に月面にぶつかっ    てきた彗星や小惑星など、数々の物体の衝突の歴史を、永久影    の凍った状態に長い間に渡ってそのまま保存していたことにな    るわけです。今回の飛散物の分析が進めば、月や太陽系の過去    について、もっとさまざまなバラエティに富んだ物語が明らか    になるかもしれません。    水の分析はさまざまな情報をもたらします。たとえば太平洋の    海水と北極に降る雪とは、同位体分析によって異なる様相を示    します。これからの探査によって、永久影の氷が、彗星起源な    のか、太陽風の直撃によってできた水酸基の月面移動によるも    のか、何らかの月面起源なのか、はたまた地球起源なのか、    ……興味ある結果を与えてくれることでしょう。    水があれば将来月面基地を建設する時の飲料水にも使えるし、    分解して月面のドーム内での呼吸にも活用できるし、また月面    でロケットの燃料を確保できる見通しも芽生えます。さあ、こ    の発見を受けて、オバマ大統領がオーガスティン報告の始末を    どうつけるか、またすでに検討が開始されている日本の月探査    懇談会の議論がどのように進められるか、これからの月探査が    ますます楽しみになってきました。(YM) このコラムに関するご意見・ご感想は下記アドレスまでお寄せ下さい。 matogawa@planetary.or.jp ********************************************************************** ☆☆ ヒューストンレポート ☆☆      (今週はお休みします) ********************************************************************** ☆☆ ホットトピックス ☆☆         (当分お休みします)       各記事の詳細は日本惑星協会ホームページでご覧になれます。 http://www.planetary.or.jp/ ********************************************************************** ********************************************************************** ■タイトル  :TPS/Jメール ■発行元   :NPO法人 日本惑星協会          http://www.planetary.or.jp/ ■発行日   :毎週水曜日 ■発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』          http://www.mag2.com/ ■マガジンID:0000022732 「TPS/Jメール」は、上記URLよりいつでも登録/解除可能 です。 ********************************************************************** **********************************************************************