☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.372)    セレーネ「月に願いを」キャンペーン    前にも書きましたが、今年の夏にアポロ以来最大の月ミッション    「セレーネ」が、H-2Aロケットに搭載されて種子島宇宙センター    を後にします。それに備えて、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と    日本惑星協会の共同で、12月1日から1月31日まで、セレーネ「月    に願いを」キャンペーンを張っています。みなさんの名前(10字    以内)とメッセージ(20字以内)をJAXAに寄せてもらえれば、    「セレーネ」に載せて月へ運びます、というキャンペーンです。    もちろん無料。夜に中天に浮かぶ月を見ながら、あらためて考え    てみると、あんなに遠くにある天体に手紙を出すなんてことは、    個人の力ではとても叶うことではないので、驚くべきことではあ    ります。    どうやらスケジュール的にもう少し余裕がありそうなので、締め    切りを延ばしたいと考えているのですが、目下その可能性を慎重    に検討しています。外国からの応募ももちろん歓迎ですし、ペッ    トの名前でもいいです。これまで来たものにも、ちょっと読んだ    だけではわけの分からない名前があって、括弧をして「へび」と    書かれたものがあります。先祖のみなさまの名前を連ねてもらっ    てもいいですよ。ある都下の市では、教育長さんがこのキャンペ    ーンに全面的に賛同の意を表せられ、市内の7000名の小学生に全    員応募するよう呼びかけるとのことです。    JAXAホームページ(http://www.jaxa.jp/)を参照の上、どうか家族ごと、    クラスごと、学校ごと、会社ごとの応募をお願いします。    1998年に日本初の探査機「のぞみ」打上げの前に行った「あなた    の名前を火星へ」キャンペーンでは、葉書による応募だったにも    かかわらず27万人の人々が名前を応募してくれました。また、    2003年の「はやぶさ」の際の「星の王子さまに会いに行きません    か」キャンペーンには88万人の名前が寄せられました。あの「は    やぶさ」フィーバーを考えると当然とも感じますが、キャンペー    ンそのものはまだ「はやぶさ」という一世を風靡した愛称のつく    前のことで、MUSES-Cと呼ばれていた時代のことだったのですから、    まさしく驚天動地の数でした。    その点、今回の「月に願いを」への応募者は実に少ないです。そ    れも一桁ぐらい違うのです。キャンペーン中とのこととて、まだ    きちんとした総括はできてはいませんが、応募の少ない原因の第    一は、何といっても、名前だけの募集ではなく、月に願いを託す    「メッセージ」を寄せてもらうというところにあるようです。と    いうのは、前2回のときと比べて、私の周囲では遜色ない取り組    みをやっているように見えるからです。メッセージなしで名前だ    け寄せてもらってもいい仕組みにはなっているのですが ……。    しかし宇宙教育における連携のために訪れるあちこちの地域でキ    ャンペーンについて訴えると、まずこのキャンペーンそのものを    知らない人が圧倒的に多いのです。いくらやっても広報活動とい    うのはきりがないものではありますが、あまり金をかけないで広    めようと思っても、一筋縄では行かないのです。だから、もっと    頑張ろうと思います。日本人がここ数年の間に、夢と希望を失っ    てしまったとは考えたくありませんからね。    そもそもこのキャンペーンの趣旨として、JAXAの広報活動と位置    づける人もいるようですが、私の意図は圧倒的に「鼓舞」です。    新聞・テレビで悲惨な事件が報じられるたびに、「なにくそ、負    けられるか」と宇宙教育による国づくり・人づくりへの思いを新    たにするのですが、教育活動には締め切りがありません。    目を覆い、耳を疑うような出来事が相次ぐ中で、「お月様にみん    なで願いを送り、七夕式に未来を見つめようではないか」との呼    びかけ自体は、決してよこしまなものではないと思います。気持    ちをひとつにしてこれからの国づくりに備えようというベクトル    揃えの嫌いな御仁もいるやに聞いていますが、あまり人の心の裏    を悪く悪く見ないで、力を合わせたいものです。    さてこれまでにも、各界の著名な方々から応募を頂いています。    応募だけでなく、積極的にもっと広めるための協力をしていただ    いている人もたくさん存在しています。ご存知、松本零士さんか    らは、熱烈な支持の表明をもらいましたし、永六輔さん、日本画    家の中野嘉之さん、タレントの近堂かおりさん、俳人の黒田杏子    さん、中日ドラゴンズの川相昌弘コーチ、サッカーの岡田武史監    督、体操の森末慎二さん、オカリナの宗次郎さんなどなど、丸の    内のJAXAの展示ルームを訪れ、激励をしていただいたり、ご自身    の出演される番組、各地での講演などで訴えかけていただいてい    る人も大勢。忙しい中を「これは日本にとっても大切な意味があ    る」と感じたからこそ、わざわざ訪ねてくれたに違いありません。    著名なイラストレータの大高郁子さんなどは、このキャンペーン    のために、特別にイラストを描き、「キャンペーンのためにどう    ぞお使いください」というので泣けました。本当に有難いことで    す。    実はこのような地道な心の通い合いこそが、日本の明日を確かな    ものにしていくのです。(YM) このコラムに関するご意見・ご感想は下記アドレスまでお寄せ下さい。 matogawa@planetary.or.jp