ミューゼスCとは

小惑星に接近するミューゼズCの想像図
提供:宇宙科学研究所


今年の11月から12月の間に、鹿児島県内之浦町にある文部科学省宇宙科学研究所のロケット発射基地から、M-Vロケットの5号機が打上げられます。このロケットの先端には、世界で初めて小惑星のサンプル(物質試料)を地球に持ち帰る、サンプルリターンに挑戦する工学実験探査機「ミューゼスC」が搭載されます。ミューゼス(MUSES)は、Mu Space Engineering Spacecraftの略称で、Cはこの工学実験探査シリーズの3番目を意味します。

軌道が解明されている小惑星は1万個以上あるとされていますが、そのほとんどは、火星と木星の間にある小惑星帯の中で太陽を回っています。小惑星は、太陽系が誕生した約46億年前の情報を比較的よくとどめている、いわば原始太陽系の化石であると考えられています。その理由は、大きく成長した地球や月と異なり、重力や内部圧力が弱くしかも熱もあまり蓄えられなかったために、中心核やマントルや地殻に分化することなく冷却したためであると考えられています。 「ミューゼズC」は、こうした太陽系の始原天体といわれる小惑星のサンプルを地球に持ち帰る、世界初の画期的な太陽系の探査計画です。

サンプルリターンの目標は、1998SF36という仮符号を持つ、大きさが約500メートルの可愛い小惑星で、太陽から約1億3500キロメートル(平均距離)離れた軌道を回っています。


提供: 宇宙科学研究所

探査機「ミューゼスC」の本体は、1.5 x 1.5 x 1.2メートルの箱型です。探査機は、2004年の春に地球スイングバイ(重力加速)により航行速度を増し、2005年夏に小惑星の軌道に到着します。最初の3ヵ月間は軌道から小惑星を調査して、小惑星の正確な大きさや形などの物理特性、表面組成や
構造の調査、サンプルの採集地点の選定を行います。

探査機は、搭載されたカメラ、レーザー高度計、近距離センサー及び衝突防止センサーを組合わせた自律航行により小惑星に接近し、予め投下されたターゲットマーカーを目印に、数秒間でサンプルを採集します。採集されたサンプルは、探査機から伸びたサンプル採集装置をとおして、内蔵されたサンプル回収カプセル(再突入カプセル)に収められます。探査機は、2005年末には小惑星に別れを告げて地球帰還への途につきます。 サンプル回収カプセルは、高度約40万キロで探査機から切り離され、地球の大気に再突入します。難度の高い再突入を切り抜けると、パラシュートを展開して降下し、2007年6月に着地する予定です。

提供: 宇宙科学研究所

ミューゼスC計画を支える工学技術には、電気推進による航行、接近、離脱、帰還、地球からの援助なしに搭載機器のみに依存する自律航行、低重力下における小天体からのサンプル採集及び地球帰還の4つがあります。いずれも、本格的な太陽系探査に欠かすことのできない重要な技術です。特に、電気推進は本格的な太陽系探査に用いられる世界で初めての推進技術といえます。予め投下されたターゲットマーカーに、レーザー光線を照射しながら目標に接近するというユニークな実験も世界で初めてです。

ミューゼスC計画の詳細を知りたい方は、http://www.isas.ac.jp をクリックして、科学探査の項目をご覧下さい。

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