【木星の衛星】

 木星には63個の衛星がある。ガリレオ衛星と呼ばれる四大衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)とアマルテアを除く他の衛星はすべて20世紀に発見された。木星の衛星の中で際立っているのは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイ(1564〜1642)が手製の望遠鏡で発見したガリレオ衛星である。いずれも惑星である冥王星よりも大きい。 太陽系最大の衛星であるガニメデは水星よりも大きい。太陽系で最も火山活動が盛んなイオでは、地表は常に再生されている。エウロパの氷地殻の下には海洋が存在し、地球以外の生命が生息している可能性が高いと考えられている。

 1999年代に17個目の衛星(S/1999J1)が発見されてから、2000年と2001年に11個づつ、2002年に1個、更に2003年(1〜3月)には12個の衛星が発見されている。 この結果、木星は太陽系では際立って多い衛星の持主となった。

 木星の衛星は周回する軌道領域により、1)120,000km〜220,000km、2)420,000km〜1,833,000km、3)11、000、000km〜11,737,000 および4)21,000,000km〜の四つのグループに大別される。三番目のグループの衛星は、木星が形成された時に残った氷や岩石の破片が集ってできたものと考えられている。但し、1999年以降発見された衛星は2個を除き、木星とは反対の方向に自転していることから、木星の重力にとらえられた小惑星と考えられている。

 下の表は、2002年12月現在、国際天文学連合(IAU)により正式に承認された衛星の名前である。名前はいずれも、ギリシャ神話(およびローマ神話)に登場するオリンポスの12神々とその家族および縁者にちなんでいる。これ以外の衛星にはリストの最後の例のように仮符号がつけられている。


データ
名前 直径 木星からの平均距離
メティス 40km 127,969km
アドラステア 20km 128,971km
アマルテア 262km 181,362km
テーベ 100km 221,887km
イオ 3,642km 421,600km
エウロパ 3,130km 670,900km
ガニメデ 5,268km 1,070,000km
カリスト 4,806km 1,883,000km
テミスト 8km 7,507,000km
レダ 10km 11,094,000km
ヒマリア 170km 11,480,000km
リシテア 24km 11,720,000km
エララ 80km 11,737,000km
ロカステ 5km 20,216,000km
パラキシダイケ 7km 20,964,000km
ハルパリケ 4km 21,132,000km
アンナケ 20km 21,200,000km
カルメ 30km 22,600.000km
イソノエ 4km 23,078,000km
エリノメ 3km 23,168,000km
タイゲテ 5km 23,312,000km
シャルデ−ン 4km 23,387,000km
パーシファエ 36km 23,500,000km
シノ−ペ 28km 23,700,000km
カリケ 5km 23,745,000km
マグクライト 5km 23,911,000km
カリルホウ 9km 24,100,000km
S/1999J1 10km 24,300,000km
代表的な衛星

イオ
 ガリレオ衛星の第一衛星で、太陽系で最も興味深い天体の一つである。直径は3642kmあり、月よりわずかに大きい。少なくとも12カ所の活火山の溶岩噴出口(黒い点)があり、1430〜1730℃と太陽系で最も高温の溶岩を噴き出していることが、探査機ガリレオの観測で明らかになった。ロキ・パテラ、ピラン・パテラ、ペレ、プロメシウスなどの活火山を含め300あまりの火山が存在する。  

 イオの表面は明るく、赤、オレンジ、白で彩られている。これは火山から300km上空に噴き上げる二酸化硫黄の噴煙のためであると考えられている。イオは他のガリレオ衛星と同年齢であるが、活発な火山活動でかき消されたりあるいは埋められるため、地表の再生が常に起こっている。木星からの平均距離は42万2518kmで、木星と衛星ガニメデの引力の相互作用の影響でふらつきながら木星を回っている。


エウロパ

 ガリレオ衛星の第二衛星。直径は3130kmと一番小さい。大きさは地球の月とほぼ同じである。エウロパの表面は例外的に滑らかでクレーターはほとんど見られない。この事から、形成以来地殻が大きく変動する過程を経てきたことを示している。

 エウロパの明るく反射している表面には、幅数10km、長さ数1000kmの暗い線が複雑な網目のように広がっている。この大規模な網目の原因は、エウロパが現在も活動していてその中心核が熱いため、内部の力により表面の氷のプレートが常に動いているためか、木星の強力な潮汐力や他の衛星の引力がエウロパの氷のプレートを割り続けて氷殻下の物質がかき混ぜられた結果、表面に浮かび上がったガスや塵が凍りついて、暗い色をした縞状の線になったためと考えられている。

 また、表面の長いしみのようなものは、断層から水がにじみ出て表層の氷を滑らかにした跡であろうと考えられ、エウロパの表面の約100km下には、岩石と金属が混じった中心核を包む液体の水の海洋が存在すると考えられている。液体の水があれば、エウロパに生命が存在する可能性もあると考えられている。木星からの平均距離は67万2025kmである。

注:イオエウロパの地形の画像についてはイメージ・ギャラリーを、エウロパの内部構造についてはホットトピックスをご覧下さい。
  


ガニメデ

 ガリレオ衛星の第三衛星。直径は5268kmで太陽系最大の衛星である。探査機ボイジャー1号と2号の画像(1号は衛星の木星を向いている面を、2号は反対側を撮影した)によると、凍りついた地表は一面クレーターだらけで、地球の月に非常によく似ている。いくつか異なったタイプの地域がある。中でも、たくさんのクレーターに覆われた大変暗い地域と、衛星の約60%を占める明るい溝のある地域が目立つ。暗い地域は、最も古い時期の地殻の名残であると考えられている。

 また、地球からも望遠鏡でみえるのが、非常に大きな円形の古いクレーター群の地域で、これを平行に横切る薄く曲がった明るい線も見える。これは遠い昔に小惑星の衝突でできた円形のしわが浸食で消された跡のようである。この他かつてははっきりした形を持ったクレーターであったが、ガニメデの氷殻が温かく、柔らかくなりすぎて、もとの地形を保てなくなった「ゴースト」クレーターも多く見られる。さらに氷原や氷のプレートと思われる大きなタイルのような塊がある。その大きさは、直径数kmからほぼ1000kmである。

 ガニメデの地殻の下には、恐らく液体の水のマントルがあり、その下には、珪酸塩質の固い核があると考えられているが、はっきりしたことはわかっていない。木星からの平均距離は、107万1665kmである。


カリスト

 ガリレオ衛星の第四衛星。直径は4806km。ガリレオ衛星の中では最も暗く、最も密度が低い。このことは、カリストが水の比率が高いことを示している。ボイジャーの画像によると、表面にはクレーターが非常に多いが(画面の明るく見える箇所)、起伏はほとんどないことがわかる。

 この衛星で最も人目を引くのが、衝撃波により形成された巨大なマルチリング構造の地形バルハラである。この地形は、カリストの初期に巨大な隕石の衝突で氷殻が広範囲に解け、すぐに凍りついて現在の浅い氷のバルハラ盆地が残ったと考えられている。

 バルハラは直径600km、中央の明るい地域を20〜100kmの間隔で囲む多数の同心円のリングから成っている。カリストには、このようなマルチ・リング構造の地形がいくつも見られる。カリストはガリレオ衛星の中で一番外側にあったため、断層や火山活動の影響を受けず、太陽系の中で最も多くのそして最も古いクレーターで覆われた表面を持っている。木星からの平均距離は188万4529kmである。